研究課題
本年度は特に、基本型その場反転プラウを用いた土壌移動に関する挙動の測定と、その結果を用いた一年生雑草種子の動態予測モデルの構築、およびその場反転プラウの雑草抑制効果の評価を行った。土壌移動の測定はレーザー距離計と摺動型変位計を組み合わせて、耕うん断面を測定することで行った。その結果、設計速度の80%程度あればほぼその場における完全反転が可能なことが分かり、しかも前後で断面はほとんど崩れないことが分かった。そこで精度があまり期待できないマーカーを用いた土壌の移動測定をする代わりに、土壌の動きをある程度理想化して土壌や雑草種子の混合が行われない動きを雑草動態モデル内の要素で記述し、そこに何らかのゆらぎにより雑草種子がごく少量の割合で混合しうるモデルを新たに構築した。このゆらぎは、昨年度の三角その場反転プラウの実験において、ディスクコールタによる表層種子の巻き込みが主たる原因であると観察された。新しく構築した動態モデルを用いて、その場反転プラウの雑草防除効果を比較評価した。評価の指標として「平衡種子再生産率」を新たに提案し、年ごとの種子動態を逐次計算しなくとも容易に防除効果の比較ができるようにした。その結果、その場反転プラウは年毎に耕深を交互に変化させると有力な雑草防除効果が期待され、特に種子が短期間に死滅する種において効果が顕著であると期待されることが分かった。長期間にわたって種子が生存しうる種については従来の発土板プラウと同等の効果であり、耕うんによる種子埋め込みによる雑草防除の限界を示した形となった。なお当初予定していた三角その場反転プラウの評価および雑草の幼芽・成体の反射分光特性の測定については、いまだ試行錯誤的な要素が多く、現段階ではまとまった成果が出ていない。本研究期間が終了しても予算的に研究継続が可能であるため、引き続き実験を行っていく予定である。
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Weed Biology and Management 7(1)
ページ: 14-22
Proceedings of the 17th International Soil and Tillage Research Conference (ISTRO2006), Kiel, Germany (CD-ROM)