研究概要 |
通年の農作業体系に影響を与えることなく,ほ場内を自律走行して精密農業やトレーサビリティに必要となるほ場情報を自動収集する小型ロボット群を開発することが本研究の目的である。走行支持部を脚状にすることで生育ステージによる作物高の変化や高畦作物に対応することが可能となる。また,安価なジャイロやDGPSを組み合わせたナビゲーションシステムを構築することで,個々のロボットに要するコストを低く抑えることができる。本年度は中でも小型ロボットの脚部制御機構ならびに低コストセンサの開発といった基本要素の開発を目的とした。 1)脚部制御機構の開発 作物の生育ステージに応じて最低地上高を調節可能とする脚部制御機構を開発した。走行用に取り付けた車輪への動力伝達機構とラッチ機構を併用することで専用の動力源なしに脚部の角度を調節可能とした。個々の脚部制御にはCANを搭載したマイクロコントローラを使用し,メインコントローラからの協調動作を可能とした。 2)低コストセンサによるナビゲーションシステムの開発 DGSPや振動ジャイロ,地磁気方位センサといった低コストなセンサと車体の運動モデルを併用することで安価なナビゲーションシステムを構築した。さらに低コスト化と省エネルギ化を目的に,太陽光発電システムを組み合わせた走行スケジューリング機構の製作に着手した。開発した低コストセンサと本研究室所有のロボットトラクタシステムを用いて実証試験を行ったところ,低コストセンサによる計測精度は,ヨー角が1.59°,ロール角が0.41°,ピッチ角が0.65°であり,自律走行作業に供するのに十分な精度を有していることが確認できた。
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