【目的】 近年の食生活の欧米化に伴い、わが国では生活習慣病の増加が問題になっている。中でも肥満は高血圧、糖尿病、高脂血症と並んで死の四重奏と言われており、心疾患などの発症リスクが高まることが知られている。従って、肥満の予防および進行の阻止は重要な課題であり、効果的に阻止できる抗肥満食品の開発が望まれている。そこで、本研究ではプロバイオティクス乳酸菌の摂取により肥満が軽減される可能性を検討した。 【結果】 1.プロバイオティクス乳酸菌の摂取が脂質吸収に及ぼす影響の検討 wistar系雄性ラットにプロバイオティクス乳酸菌の一つであるLactobacillus rhamnosus GG凍結乾燥菌体を5%含む飼料を21日間摂取させた結果、血清脂質濃度の上昇が抑制されるとともに、糞中へのコレステロールや胆汁酸などの脂質排泄量が増加した。従って、Lactobacillus rhamnosus GG摂取により脂質の吸収が減少し、排泄が促進されることが示唆された。 2.プロバイオティクス乳酸菌の自然発症肥満マウスに対する摂取効果の検討 ヒト肥満遺伝子導入雄性マウス(KKAy)にLactobacillus rhamnosus GG凍結乾燥菌体を2%含む飼料を6ヶ月間摂取させた結果、飼料摂取量は差が見られなかったにもかかわらず体重および血糖値の上昇が抑制された。従って、Lactobacillus rhamnosus GG摂取は肥満の軽減に有効である可能性が示唆された。
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