研究概要 |
1.目的 シソ科植物に豊富に含まれるポリフェノール(ルテオリン)が、エンドセリン(ET)分泌および合成を抑制することが明らかにしている。また、泌乳最盛期のマウスの乳腺において、ET発現が増大することも明らかにしている。加えて、ETは、血管収縮により血流を低下させたり、上皮細胞のアポトーシスを促進することが知られている。つまり、飼料中機能性成分であるルテオリン給与はET分泌を抑制することで乳腺上皮細胞のアホトーシスを制御させ、泌乳量を増大させることが期待できる。 昨年度はウシ乳腺にETが発現していることを明らかにした。本年度は、いつルテオリンを給与すればよいのかを明らかにするために(ET抑制効果を期待できる泌乳ステージを解明するために)、泌乳期ごとにET-1およびエンドセリンA型受容体(ETA-R)の遺伝子発現量を測定した。 2.方法 供試動物:北海道農業研究センターで一般飼育条件下にて飼育されたホルスタイン種の泌乳初期(分娩1-2週後;6頭)、中期(分娩5-6ヶ月後;7頭)、後期(分娩9-10ヶ月後:4頭)および未経産牛(3頭)の乳腺組織を摘出して、実験に供試した。 定量的PCRおよびRNA:ET-1およびETA-Rの配列は、ジーンデータベースで公開済みの配列を供試した(NM181010,NM174308)。特異的プライマーおよび蛍光プローブを用いた定量的PCR測定系を確立した。組織から抽出した総RNAを逆転写反応にてcDNAを合成した後に、定量的PCR解析を行なった。発現解析は、内部標準としてアクチン遺伝子発現を用いた。 3.結果の概要 (1)ET-1遺伝子発現は、各処理区間において有意差は認められなかった。 (2)未経産牛の乳腺ETA-R遺伝子は、泌乳期のそれと比較して有意に増大した(ANOVA,ボンフェノーニ多重比較検定P<0.001) 4.まとめ 泌乳にはETシグナルの抑制が必要であるので、ルテオリンを全泌乳期通じて給与すればよいことが示唆された。
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