本年度は、途中より所属の変更による引っ越し・ラボの整備などがあり、実験計画が予定通り進行しておらず、さらに新しい所属先における実験施設・設備の制約により実験計画を当初より少し変更せねばならなかった。 まず最初に必要なマウスのレトロウイルス発現ライブラリーの構築の準備を行った。T細胞ヘルプのミミックとしてCD40を介する刺激を行った正常マウス脾臓由来B細胞よりRNAを抽出しcDNAライブラリーを作製した。また、同時にCD40を介する剌激を行った正常マウス脾臓由来B細胞を用いT細胞ヘルプによるB細胞反応性増強をウエスタングロテッィングにより確認した。 また、B細胞の免疫応答の判定に当初使用予定であったシステムである、MAPKおよびNF-kappaBに反応するレポーター遺伝子を組み込んだB細胞株を作製予定であったが、レポーターアッセイおよびその後予定していたフローサイトメトリーによる細胞ソーティングが設備の関係により困難であることから、MAPKおよびNF-kappaBに反応するレポーターアッセイが可能な細胞株を入手し、それらがdrug selectionにより代替可能かを検討した。 さらに、スクリーニングに用いるヒトXLA患者由来細胞株が使用できなくなったため、siRNAによりBtkをノックダウンされたヒトB細胞株を入手し、それらがBtkのnatural mutantマウス由来B細胞と同様の挙動を示すことを証明した。 以上のように、予定の遅れはあるものの当初の目的に向かって準備は進んでおり、今後はレトロウイルスライブラリーを上記のシステムを用いてスクリーニングすることにより目的の遺伝子が早期に得られる予定である。
|