研究課題
昨年度は、犬色素性表皮母斑(CPEN)関連ウイルスゲノムの全長をクローニングするとともに、未解明であるCPENの腫瘍化機序を明らかにする手掛かりとして、CPENからの悪性転化がみられた症例の腫瘍組織内でのウイルス抗原と遺伝子(L1)の分布を検討し、腫瘍組織内ではウイルス抗原は検出されないものの、一部ではウイルス遺伝子(L1)が存在することを明らかにした。PV関連腫瘍組織内で広く保持されている遺伝子領域はE6およびE7領域であることなどからCPEN関連PVの生物学的意義の解明するためには複数の遺伝子領域を標的とした多元的な検索・評価が必要となる。そこで本年度は、クローニングデータを参考にして、それぞれ220bpおよび236bpの長さのDNAを増幅するE6およびE7遺伝子領域に特異的なプライマーセットCPEN-E6-F/RおよびCPEN-E7-F/Rを用いた安定した検出系を確立した。また、新たに見出した1例の犬のPV性核内封入体形成を伴う被角血管腫様乳頭腫病変について、CPEN関連PV、或いはその他のPVの関与の有無を検討した。その結果、本病変はCPEN関連PVではなく、犬口腔乳頭腫ウイルス(COPV)感染に関連していることが明らかとなった。更に、封入体形成のみられない被角血管腫3例を含む皮膚血管腫6例に普遍的にPVが関与しているか否かを免疫組織化学的および分子生物学的手法を用いて検討した。併せて、PVの関与が示唆されている口腔内乳頭状扁平上皮癌2例を含む頭部扁平上皮癌14例についても同様に検索した。その結果、これら病巣では今回適用したCPEN関連PV(L1)、COPV(L1、E6、およびE7)、並びにコンセンサスプライマーを用いたPV(L1)検出系のいずれにおいても、陽性所見は得られなかった。しかしながら、これら検索方法では十分とは言えず、今後、検出方法の改善を含めて更に検討する必要がある。
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