1.研究用設備の拡充 冷却遠心分離機、倒立型顕微鏡、振盪式恒温槽、小型クリーンベンチを購入し、移動式架台に設置した。このようなユニットにより骨髄および脂肪から採取した細胞の処理が手術室内でも実施できるように体制が整備できた。 2.細胞の回収に関する技術習得 実験動物(ビーグル犬)を用いて骨髄および脂肪の採取部位について検討を行った。骨髄液を上腕骨近位、大腿骨近位、脛骨近位から採取し、一定期間培養した後に培養シャーレ上に接着している間葉系細胞の細胞数を比較したが、差は認められなかった。そのため、臨床的にも海綿質骨移植に利用する機会の多い上腕骨近位を採取部位と特定することとした。脂肪細胞は肩部、腹部、臀部皮下組織から採取し、前述同様の接着系細胞の細胞数を比較したが、差は認められなかった。そのため、臨床的に採取する機会の多い腹部皮下を採取部位と特定することとした。 3.細胞培養に関する技術習得 実験動物(ビーグル犬)から骨髄および脂肪組織を無菌的に採取し、間葉系細胞の培養を試みた。10%FCS添加DMEM培地を用いた培養法で、各細胞の良好な増殖を確認した。現在までに3頭の実験犬から採取した細胞の比較を行っているが、いずれにおいても脂肪由来間葉系細胞の方が骨髄由来の細胞に比較して増殖速度の速い傾向が認められるため、今後定量的な評価が必要と考えられる。 4.測定機器に関する技術習得 移植や実験に使用する間葉系細胞の特性を捕らえる一環として、フローサイトメトリーを使用する。今年度我々はフローサイトメトリーの操作技術を習得し、培養細胞がCD44に陽性の反応を示すことを確認した。
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