研究概要 |
白色腐朽菌で強く発現することが知られている遺伝子であるハイドロフォービンのプロモーターアッセイを行い、400b.p.長の領域に転写を促進する部位があることを示した。また同じく白色腐朽菌であり、スエヒロタケより高いリグニン分解力を示すPhanerochaete sordida YK-624において、始めて遺伝子導入系を構築した。次に恒常的発現遺伝子GPDとEGFPのfusion vector pGPD-EGFPを構築し、YK-624におけるプロモーターアッセイを行った。pGPD-EGFPを共形質転換した各cloneの菌体抽出液を調製し、EGFP蛍光強度、及び総可溶性タンパク質濃度を測定した。その結果、最も発現の強いcloneにおいては、総可溶性タンパク質の1.2%が遺伝子発現ベクターによって生産されたEGFPタンパク質であることが示された。このことから、YK-624のGPD遺伝子プロモーターは導入遺伝子を多量にYK-624菌株内で発現させる能力を有していることが判明した。更に、YK-624に対して恒常的にリグニン分解酵素を生産する能力を付与することを目的として、GPD遺伝子プロモーターにリグニン分解酵素YK-Lips(YK-Lip1,YK-Lip2)を結合した発現ベクターを構築し、UV-64への遺伝子導入を行った。その結果、多数のクローンにおいてYK-Lip1、YK-Lip2がexogeneousに導入されていることが示された。これら菌株群を液体培地中で培養し、上清中のリグニンペルオキシターゼを測定した結果、intrinsicなYK-Lip1、YK-Lip2が全く発現していない培地条件中においてYK-Lipl、YK-Lip2の活性が検出された。このことから、遺伝子発現ベクターpGPDはYK-624のリグニン分解活性を上昇させる可能性を有することが示された。
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