研究概要 |
2年の研究機関の最終年度に当たる本年度は、昨年度行った構造-機能相関研究を更に進めた結果、触媒の構造単純化に成功し新たな触媒を獲得することに成功した。固相担持型の触媒についても昨年度に引き続き研究を行った。 1、AZADO型酸化触媒の構造-活性相関と新規触媒開発 昨年度、AZADO、1-Me-AZADO、Dimethyl-AZADOの3種のニトロキシルラジカル近傍の嵩高さの異なるアザアダマンタン型ニトロキシラジカルを合成し、AZADOと1-Me-AZADOが立体障害の大きい基質に対しても有効に作用し、Dimethyl-AZADOはTEMPOと同様混み合っていないアルコールを選択的に酸化することを明らかにした。そこで、本年度はAZADOと1-Me-AZADOとの間の反応性の差についてより詳細に検討を行った。その結果、基質適用性については現在のところ明らかとなっていないが、その反応速度には差が見られ、AZADOは1-Me-AZADOを凌ぐ酸化活性を有することが明らかとなった。さらに、アザアダマンタン核の必要性についても検討を行った結果、アザビシクロ骨格を有するABNO(9-azabicycle[3.3.1]nonane N-oxyl)がAZADO,1-Me-AZADOと同様の高い酸化触媒活性を持つことが明らかとなった。ABNOは合成が容易で有用な触媒である。 2、固相担持型AZADOの開発 触媒の固相への担持はろ過操作のみで反応系からの除去が可能となることから精製を容易とし、再利用も可能とすることから有用である。そのような観点から昨年度触媒の固相への担持に取り組み、AZADOの活性を損なわないAZADO担持型触媒の獲得に成功した。しかしながら、再利用に関しては、約5回程度で触媒活性が低下することがわかった。リサイクル使用した際に固相担体の物理的な破壊が見られたことから、攪拌・振盪迄条件、固相担体等に関して検討を行ったがリサイクル耐久性を向上させるには至らなかった。
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