研究課題
グリーンケミストリーの重要性が認められるにつれて、環境調和適応型合成反応の開発が注目されている。本研究は、煩雑な保護-脱保護のプロセスを省けるタンデム反応に着目し、有機合成反応を効率化する新しい手法の開発を目指している。特に、四置換炭素中心の構築と、その炭素中心の立体制御を課題として研究を展開した。はじめに、四置換炭素中心の構築法として、ラジカル反応と遷移金属触媒反応を融合させて新規タンデム反応の開発を行った。その結果、異なる二つの反応の融合として、ラジカル反応とパラジウム触媒を用いたアリル位置換反応を連続的に行う新規反応の開発に成功し、四置換アミノ酸類の合成に利用した。次に、タンデム反応では無いが、ラジカル反応を用いた四置換炭素中心の構築法として、現在までほとんど成功例の無いケトイミン類へのラジカル反応を検討した。その結果、温和なラジカル反応条件下でも、高い反応性を有するケトイミン類を見出し、水中炭素-炭素結合形成反応に展開することができた。最後に、四置換炭素中心の構築とその立体制御を目的として、キラルなルイス酸を用いたタンデム型ラジカル反応の開発に着手した。その結果、二つの炭素-炭素結合と一つの炭素-ヨウ素結合を一度に形成する新規な連続反応の開発に成功した。さらに、本反応により構築される四置換炭素中心の立体制御を展開したところ、Boxリガンドと亜鉛ルイス酸を用いた場合に、良好なエナンチオ選択性で反応が進行することを見出した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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