研究課題
本年度の研究実施計画に従い、カンファー骨格を有する光学活性セレニドの合成及びそれらを用いたCorey-Chaykovsky反応を行った。3種の新規光学活性セレニドの合成を行った。ジ(2-ヒドロキシ-10-ボルニル)セレニドについて、まずDMF中リチウムセレニドをヨードカンファーと反応させ対称ジケトセレニドを91%で合成した。次にTHF中LAHでケトン基を還元しジヒドロキシ体の合成を行った。ジ(2-アミノ-10-ボルニル)セレニドについては、まずトルエン中PPTS触媒存在下、対称ジケトセレニドとベンジルブロミドよりジイミンを合成した。続いてイミノ基の還元を行った。還元剤としてLAHやDIBALを用いると目的物は全く得られてこないものの、ニッケルクロリド-ナトリウムボロヒドリドによる還元でジアミノ体を合成に成功した。さらに、ジ(2-メルカプト-10-ボルニル)セレニドについて、対称ジケトセレニドをトルエン中、Lawesson試薬と反応させジチオケトンへ変換し、さらにDIBALにより低温下還元を行うことでジチオール体も合成した。3種の光学活性セレニドを用いて、不斉Corey-Chaykovsky反応を検討した。塩基として水酸化リチウムを用い、0.3当量の触媒存在下p-ニトロベンズアルデヒドとフェナシルブロミドとの反応を行った。ジヒドロキシ体を用いた場合、3時間で反応は終了し化学収率90%、また79%eeのエナンチオ選択性が観察された。一方、ジアミノ体を用いた場合、反応は12時間で終了し化学収率は83%と高収率であったがエナンチオ選択性は全く観察されなかった。さらにジチオール体の場合には、12時間後で化学収率がわずか11%と反応の進行が遅く、エナンチオ選択性は観察されなかった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
European Journal of Organic Chemistry 8
ページ: 1493-1496
Tetrahedron Letters 46,42
ページ: 7155-7158