研究概要 |
1.光学活性セレニド触媒を用いた不斉オキシラン化反応の検討:塩化メチレン中、光学活性セレニド触媒存在下フェナシルブロミド、ベンズアルデヒド及び水酸化リチウムとの反応は室温5時間において(253R)-3-ベンゾイル-2-フェニルオキシランを66%、48%eeで与えた。本反応をCorey-Chaykovsky型反応と仮定し、その反応中間体に相当するセレノニウム塩を別途合成した。すなわち、アセトン中、トリフルオロメタンスルホン酸銀存在下光学活性セレニドとフェナシルブロミドとの反応より目的のセレノニウム塩を85%の収率で得た。このセレノニウム塩を用いて塩化メチレン中水酸化リチウム存在下ベンズアルデヒドとの反応を行ったが、反応時間が3時間及び24時間いずれにおいても反応はほとんど進行ぜず、得られたオキシラン体はほぼラセミ体であった。本反応はセレニド触媒と水酸化リチウムとの光学活性複合塩基によるDarzens反応で進行していることが示唆された。 2.カルコゲン触媒を用いた電子欠損アルキンと活性メチレン化合物との反応:クロロホルム中、触媒としてベンジルセレニド存在下3-ブテン-2-オンとアセチルアセトンとの反応は2,4,6-トリアセチルトルエンを与えた。本反応は、触媒、3-ブテン-2-オン及びアセチルアセトンの全ての要素が必須であり、還流条件で反応は進行した。興味深いことにベンジルセレニドの代わりにベンジルスルフィドを用いると反応は同条件下進行しない。活性メチレンカルバニオンの電子欠損アルキンへのマイケル付加より開始するタンデムダブルMichael付加-aldol反応による六員環形成反応より芳香環化を起こしているものと考えている。
|