研究概要 |
マレーシア産キョウチクトウ科植物Kopsia lapidilectaの葉から単離された多環性アルカロイドラピジレクチンBの合成を行った。初めにKopsia lapidilectaアルカロイド類共通の骨格である2,3-dihydroindole-2-spiro-1'-cyclohexane骨格の構築について検討した。2,3-インドリンジオンより誘導した3位にアセタール,2位に共役ジエンを有する2-置換インドリン誘導体に対しギ酸を作用させ,N-アシルイミニウムイオン-共役ジエンアザスピロ環化反応を行ったところ,スピロ環化様の反応が進行するものの,3位アセタール酸素原子の影響により芳香環の転位反応が進行しアクリジン誘導体を与えることが明らかとなった。そこでN-Boc-2-置換インドール誘導体を用い同様にスピロ環化反応を検討したところ低収率ではあるが2,3-dihydroindole-2-spiro-1'-cyclohexane骨格を有するスピロ環化体が得られ,また共役ジエン側鎖3'位にアルコキシ基を有するN-Boc-2-置換インドール誘導体を用いた場合にも同様に4%の低収率ではあるがスピロ化合物を得ることができた。酸性条件下脱Boc化が進行することが低収率の原因と考えられたので,窒素保護基をメトキシカルボニル基に変更後トリフルオロ酢酸を作用させたところ,所望の立体配置を有するスピロ環化体が収率73%,1.9:1の生成比で得られることが判明した。次いで側鎖の酸化的開裂,インドール3位の酸化を行った後ビニルグリニャール試薬を作用させ,ラピジレクチンBの立体配置を有したビニル化体を立体選択的に合成することができた。 現在,得られたビニル化体よりラピジレクチンBへの誘導を検討中である。
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