研究概要 |
1,新規糖鎖構造を有する配糖体成分を得ることを目的にユリ科Trillium erectum,マメ科Stryphonodendron fissuratumの成分検索を行った.その結果、T.erectumより,新規化合物3種を含む8種のステロイド配糖体を,S.fissuratumより11種の新規トリテルペン配糖体を単離した.それらの構造はNMRを中心としたスペクトル解析,ならびに酸加水分解等の化学的手法を用いて決定した.S.fissuratumより得られた化合物のうち,4種の新規オレアナン配糖体はアグリコンの3位水酸基にD-glucose,D-xylose,L-arabinose,L-rhamnoseで構成される6糖から成る新規糖鎖構造を有する. 2,1で新しく単離された化合物について,HL-60細胞に対する増殖抑制活性試験を行った.サンプル濃度を10μg/mLとしてHL-60細胞に72時間接触させた後,MTT法により評価し,コントロールに対する細胞増殖抑制率を算出した.その結果,T.erectumより得られた1種の既知フロスタン配糖体に活性が認められた(IC_<50>2.9μg/mL).S.fissuratumより得られた化合物には活性が認められなかった. 3,リュウゼツラン科Agave utahensisより単離され,すでにHL-60細胞に対する増殖抑制活性試験を行い,活性を有する事がわかっている6種の化合物について,HL-60細胞に対するアポトーシス誘導活性試験をおこなった.サンプル濃度を10μg/mLとしてHL-60細胞に6時間接触させた後,DNAの抽出を行い,アガロースゲル電気泳動を行なった.泳動終了後,SYBR Greenで処理し,トランスイルミネーターによりUV照射した.その結果,数種の化合物にアポトーシス細胞に特徴的なDNA断片化(ラダー)が観測された.
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