18年度当初は千葉大学大学院薬学研究院にて、ナノ製剤開発手法としてブレイクダウンの手法として、医薬品とシクロデキストリンとの混合粉砕法によるナノ微粒子形成について検討した。実験操作条件(input)と生成される医薬品ナノ微粒子の粒子径や収率について(output)についてデータベース化し、本研究課題であるニューロファジィ理論を用いたデータマイニングの手法により、医薬品ナノ微粒子の得られるための必要条件として、系中に存在する水分の影響が大きいことを解明した。そこで、水分含量に焦点を当てて検討を行ったところ、医薬品ナノ微粒子の生成と水分含量との間に良好な因果関係が認められた。したがって、ナノ微粒子生成プロセスのメカニズム解明に関して、データマイニングが因果関係の探求に有効である事が示唆された。なおメカニズムに関してはChem.Pharm.Bullへ投稿済みである。 18年7月より、岐阜薬科大学に研究拠点を移転したため、ナノ製剤開発手法としてビルドアップ型のナノ微粒子生成の検討に関しても取り組むことが可能となった。そこで、超臨界二酸化炭素を用いた新規医薬品ナノ微粒子の調製に着手した。現在興味深い結果が得られつつあり、データマイニングの考え方を取り入れることにより、従来と比較して実験操作条件やパラメータ選択にスピードアップが図れていることが実感できている。今後は、検証実験および再現性を確かめた後に、来年度中に論文投稿する予定である。
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