研究概要 |
本年度は(1)超臨界二酸化炭素を用いた医薬品ナノ微粒子の生成および(2)エマルション溶媒拡散法による医薬品ナノ微粒子の調製の可能性についての検討の2つのテーマを選定し,ビルドアップ法による医薬品ナノ粒子の調製と評価,およびデータマイニング法により最適なナノ粒子の調製条件に関しての詳細検討を行なった。(1)の検討においては,超臨界二酸化炭素を溶媒として使用する手法を検討した。医薬品の溶解した流体を急速膨張させて微粒子を得る方法が従来行われてきたが,医薬品の超臨界二酸化炭素中への溶解度が極めて低いために粒子の生成が起こるための濃度が得られなかったことや,粉体の捕集方法が難しいなどの欠点があることが問題となっていたが,今年度の検討によって,捕集方法,超臨界二酸化炭素中への医薬品の効率的な分散方法を発見し,種々のデータの中から最適条件をマイニングすることにより,新規の医薬品ナノ微粒子生成手法として確立した。本手法は特許出願し(特願2007-266871),その成果は国際学会1件,国内学会1件の学会発表として報告し,学術論文にも現在投稿中である。一方,(2)に関する検討もエマルション溶媒拡散法において外層としてこれまでに用いられていないシクロデキストリンやクラスターデキストリンなどの新規の糖類を添加剤として用いて医薬品微粒子の形成に関して検討した。その結果,新たな医薬品ナノ粒子性製法として可能性を見出すことに成功し,国際学会1件の報告および,学術論文への投稿を行った(Cyclodextrins as stabilizers for the preparation of drug nanoparticles by the emulsion solvent diffusion method,Int.J.Pharm.,(in press)(2008))
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