研究概要 |
初年度は,コンドロイチン硫酸がTh1促進活性を示す介在分子と考えられるリンパ球表面上のL-セレクチンと相互作用を示す糖鎖のスクリーニングを行い,それらの免疫化学的活性を評価した. 数種多糖類について,表面プラズモン共鳴装置を用いたL-セレクチンとの物理的親和性を測定したところ,コンドロイチン硫酸の結合定数が8.2×10^4であったのに対し,Cladosiphon okamuranus Tokida由来フコイダンは1.4×10^8, Fucus vesiculosus由来フコイダンは5.5×10^8と極めて高い値を示した.それらフコイダンの化学構造はHPLC,NMR等各種分析機器を用いて,C. okamuranus Tokida由来フコイダンを-[(→3Fuc-4(±OSO_3^-)α1-)_5→3(GlcAα1→2)Fucα1]_n-, F. vesiculosus由来フコイダンを-[→3(Fucα1→4)Fucα1→3Fucα1→3Fuc-4(OSO_3^-)α1→3Fucα1→3(Fucα1→2)Fuc-4(OSO_3^-)α1→]_n-と同定した. さらに抗原感作マウス脾細胞を抗原存在下フコイダンと共培養し,上清中に産生されるサイトカインを測定したところ,フコイダン添加群はTh1型サイトカインのみならず,Th2型サイトカイン産生も有意に増加することが示された.また,培養脾細胞の表面抗原をフローサイトメトリーを用いて解析したところ,フコイダン添加群はCD3ε,CD45/B220,CD4及びCD8αの陽性率が有意に増加した.一方,抗原感作マウス腸管上皮間リンパ球を抗原存在下フコイダンと共培養し,上清中に産生されるサイトカインを測定したところ,抗原特異的な応答は認められなかった.また,培養後の腸管上皮間リンパ球の表面抗原を解析したところ,フコイダン添加群のサブポピュレーションに有意な変化は認められなかった.
|