研究概要 |
平成17年度は,コンドロイチン硫酸がTh1促進活性を示すのに必要であると考えられているL-セレクチンと相互作用を示す糖鎖のスクリーニングを行い,その構造的特徴をHPLC, NMR及びMS等の各種分析機器を用いて明らかにした.そこで,平成18年度は,コンドロイチン硫酸を構成する分子群を化学的に調製し,活性発現に必要な「糖鎖コドン」について詳細に考究した. 具体的には,サイズ排除クロマトグラフィーを用いて,クジラ軟骨及びウシ気管軟骨由来コンドロイチン硫酸の分画を行い,分子量の異なるコンドロイチン硫酸を調製した(クジラ軟骨由来コンドロイチン硫酸:7,9,12,15,21,29kDa,ウシ気管軟骨由来コンドロイチン硫酸:6,7,9,13,15,17,21,26,33kDa).なお,分画したコンドロイチン硫酸について,特異的分解酵素を用いて不飽和二糖を得た後,傾向誘導体化して高速液体クロマトグラフィーを用いて分析を行ったところ,分画前の二糖組成を保持していることが明らかとなった.表面プラズモン共鳴測定装置を用いて分画したコンドロイチン硫酸とL-セレクチンの相互作用解析を行った結果,21kDaのコンドロイチン硫酸が最も高い親和性を有し,分子量が小さくなるほど親和性が低下することを見出した.また,分画したコンドロイチン硫酸の抗原感作マウス脾細胞に対する免疫化学的活性を評価した結果,コンドロイチン硫酸の分子量依存的にIFN-γ産生の有意な促進及びIL-5産生の有意な抑制が認められた.
|