研究概要 |
我々がクローニングした新規GRP78結合タンパク質は、組織レベルでの発現解析により、脳、特に胎児および生後の神経細胞に高発現し、加齢に伴って減少することが明らかになっている。一方、heat shock protein familyの一つであるGRP78は、様々な細胞に対し保護作用が報告されているものの、その詳細な機構は十分に明らかにされていない。そこで、本年度は以下の点について検討した。 1,ラットGRP78結合タンパク質のGRP78との結合解析 2,GRP78結合タンパク質のマウスホモログKIAA1583 cDNAを用いた細胞内局在・機能解析 ラットGRP78結合タンパク質のC末端を約1/3また2/3欠損したMycタグコンストラクトとGRP78のHEK293細胞へのco-transfectionによる遺伝子導入の後に、免疫沈降法によって両者の結合を検討した。その結果、GRP78結合タンパク質N末端約1/3でも、全長型と同程度にGRP78との結合能を有することが明らかとなった。また、ラットGRP78結合タンパク質マウスホモログ(KIAA1583)においてもGRP78との結合能を確認した。さらに、マウスGRP78結合タンパク質のC末端欠失コンストラクトを3種類を作製しCOS7細胞内での局在を観察した。その結果、C末端約2/3を欠失したものにおいても全長型と同様に核周囲・小胞体に強く局在しており、GRP78との結合実験と同様にN末端に重要なドメインが存在する可能性が示唆された。更に、これらコンストラクトをもとに、GST融合GRP78結合タンパク質およびtwo-hybrid用コンストラクトを作製した。来年度はこれらを用いて網羅的にGRP78結合タンパク質に対する結合因子の探索を行う予定である。
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