我々は平成17年度の研究成果により、DNaseXがMφの分化、DNaseγがIFN-γやIL-4などのサイトカインによるMφの活性化、それぞれの過程に於いて強く発現誘導されることを見いだした。本年度の研究はこれらのDNaseの役割を明らかとし、Mφに於けるDNA分解機構を包括的に理解することを目標に行われた。 Mφに於けるDNaseXの局在を蛍光抗体法を用い解析、DNaseXがMφの細胞膜表面に強く発現することを見いだした。DNaseXの膜結合様式を調べ、当該タンパクがGPIアンカーにより膜結合するecto型DNaseであることを明らかとした。さらにラテックスビーズの貪食に伴う局在変化を調べ、DNaseXが初期ファゴソームに局在し、ファゴソーム成熟過程でDNaseIIと入れ替わることを明らかとした。 Mφによる外来DNA分解に於けるDNaseXの役割を明らかとするため、siRNAによるノックダウンの影響を調べた。DNaseXノックダウンMφでは、貪食したDNA分解の初期に観察される3'-OH末端形成が強く抑制された。 Mφのアポトーシスに於けるDNaseγの役割をDNaseγノックアウトマウスを用い調べた。無刺激MφのアポトーシスにDNaseγの関与は認められなかったが、IFN-γ活性化Mφに於いてはDNaseγ依存的にアポトーシスのDNA断片化が起こることを明らかとした。 以上の研究成果により、Mφに於けるDNA消去について以下のことが明らかとなった。1)貪食作用により取り込まれた外来DNAの消去過程は、DNaseXに依存する初期段階とDNaseIIが担当する後期段階からなる。2)アポトーシスに於けるMφ自身のDNA消去に於いては、その活性化状態によりCADとDNaseγが使い分けられている。
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