ATP枯渇によるタンパク質変性に対するHsp105の保護効果にHsp105のATP結合能やHsp105のCK2によるリン酸化修飾が必要であるかどうかについて検討するため、ATP結合能を持たないHsp105変異体(Hsp105K69A)およびHsp105のCK2リン酸化部位の変異体(Hsp105S509A)の発現ベクターを作製し、ATP枯渇によるルシフェラーゼの不活性化について検討したところ、これらのHsp105変異体は、野性型Hsp105と異なりルシフェラーゼの不活性化を抑制できなかった。このことから、Hsp105のATP枯渇によるタンパク質変性に対する保護作用にはHsp105のATP結合能やHsp105のCK2によるリン酸化修飾が必要であると考えられた。 ATP枯渇による細胞死に対するHsp105またはHsp70高発現の影響について検討したところ、ルシフェラーゼの不活性化に対する保護効果と異なり、Hsp105、Hsp70ともに細胞死を抑制することが明らかになった。 Hsp105プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結したコンストラクトを安定に発現するC3H10T1/2細胞を用いて、Hsp105の発現を誘導する薬物のスクリーニングを行い、Hsp105プロモーター活性を上昇させる化合物としてサリチルアミド、サリチルアルコール、アセトアミドフェノールなどフェノール性水酸基を有するものを数種類見出した。
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