研究概要 |
本研究は、2型糖尿病モデルマウス(ob/obマウス)が発症している脂肪肝に特異的なcideA, fsp27遺伝子の発現調節機構を解明し、cideA及びfsp27タンパクの生理機能、特に脂肪肝形成への関連性を明らかにすることを目的とする。本年度は、両遺伝子の脂肪肝特異的な発現メカニズム解明のため、5'上流域の解析を行った。 マウスfsp27遺伝子のプロモーター領域に対するディリーションルシフェラーゼプラスミドをマウスゲノムDNAからPCR法により作製した。これらのレポータープラスミドを用いた実験の結果、fsp27遺伝子のプロモーター領域、-214から-195bpの間にPPARγ特異的リガンドrosiglitazone応答性、PPAR-responsive element(PPRE)様の配列を見出した。興味深いことに、PPARα及びPPARβの発現は、その特異的リガンドの共存下、このPPREを含むレポータープラスミドのプロモーター活性を誘導できなかった。さらに、electrophoretic mobility shift及びchromatin immunoprecipitation assayを用いることによりPPARγのPPREへの直接的な結合をin vivo及びin vitroで証明できた。これらの結果より、脂肪肝において発現が上昇しているPPARγは、fsp27遺伝子のプロモーター領域に存在するPPREに結合することにより直接的にfsp27遺伝子の発現を制御していることが示唆された。またこのPPREは、PPARγによる特異的な結合により機能している可能性がある。現在、cideA遺伝子についても同様に検討中である。
|