本研究の目的は、in vivoにおいてDNAワクチン療法を実現するための新規ターゲティング型非ウィルス性遺伝子導入キャリアを開発することである。これまでの多くの遺伝子キャリアはin vitroを基盤として開発されていて、生体内に投与後、標的部位で発現するまでの様々な障壁については考慮されiていないのが現実である。本年度は、昨年度最適化をおこなった遺伝子導入キャリア、マンノース修飾リボソームを用いてDNAワクチンへの応用を検討した。抗原タンパク質としてOVAをコードするプラスミドDNAを用い、発現能の確認を目的にマンノース修飾リボソームとの複合体をDC2.4細胞に遺伝子導入をおこなったところ、非修飾カチオン性リボソームと比較し有意な取り込み量の増大および発現の増大が認められた。次にin vivoに適用しCTL活性を評価したところ、一般的なDNAワクチン療法で用いられるプラスミドDNA単独の筋肉内投与と比較し、マンノース修飾リボソームとの複合体の腹腔内投与により有意に高いCTL活性を得た。最後に担がんマウスを用いてDNAワクチンによる治療効果を評価するため生存期間を測定したところ、非修飾リボソームとの複合体またはプラスミドDNA単独で投与した場合に比べ、マンノース修飾リボソームとの複合体投与により有意な生存期間延長が認められた。以上、論理的にin vivoでの遺伝子導入キャリアの設計をおこなうことにより我々が開発したマンノース修飾リボソームがDNAワクチン製剤として有用なキャリアとなりえることが示された。
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