研究概要 |
OATPファミリーに属する肝取り込みトランスポーターの機能を競合的に阻害することが知られている免疫抑制薬シクロスポリンを用いて、そのトランスポーター阻害様式について、検討を行った。In vivoにおいて、シクロスポリンを前投与したラットにおける、トランスポーター介在性輸送によって、主に肝から消失するスルホブロモフタレイン(BSP)の体内動態によって、トランスポーター機能に対する影響を評価した。この結果、シクロスポリン前投与を行ったラットでは、BSPの血中濃度が上昇したが、これまでに報告しているシクロスポリン併用による血中濃度上昇に比べて、その程度が著しく大きいことが観察された。その機序を解明する目的で、Oatpファミリーに属するトランスポーターOatp1,2および4のmRNA量を定量的解析したところ、シクロスポリン前投与による影響はほとんど認められなかった。その一方で、シクロスポリン前投与を行ったラットから遊離肝細胞を調製し、トリチウム標識したBSPを用いて、取り込み実験をしたところ、取り込みの減少が認められた。このことから、トランスポーター機能が低下していることが示唆された。速度論的解析を行ったところ、Vmaxの低下により説明できることがわかった。このことから、トランスポーター発現量の変化を伴わないものの、その機能を競合阻害とは異なるメカニズムによって低下させていることが示唆された。この詳細なメカニズムについて、さらなる検討を行っているところである。
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