研究概要 |
本研究では、「単一感覚神経細胞の生理機能」と「発現遺伝子に基づいた細胞タイプの分類」とを正確に対応づける手法を発展させることを目標に、生体(麻酔下動物)から単一細胞の生理機能を電気生理学的に解析した後、個々の細胞の発現遺伝子の比較解析を行う。平成18年度は研究計画に基づいて以下の研究を実施した。 計画1,生体ラットを用いたin vivoパッチクランプ法による単一DRG糸細胞応答の記録 昨年度に構築したin vivoパッチクランプ実験システムを使用して、ラットの腰部脊髄後根神経節(DRG)生体標本から、単一感覚神経細胞の全細胞記録を行うための手法の確立を試みた。本実験では、麻酔下でラットの生理機能を良好に維持しつつ外科的処置を施し、座骨神経およびその末梢受容野との繋がりを維持した状態で腰部脊髄神経節を体外へ導出した生体標本を必要とする。これまでに数十例の手術を繰り返して手術方法の改良を行い、良好な状態の生体標本を比較的安定して作成することに成功した。さらに本標本を用いて、脊髄神経節ニューロンからのパッチクランプ記録を行うため、神経節組織のを酵素消化して神経細胞を露出させる処理条件の検討を行った。これまでに4種類の消化酵素を使用して、処理時間、酵素濃度、酵素溶液の吐出圧などの条件を様々に変え、さらに複数の酵素を組み合わせての二重消化をするなどの検討を行ってきた。依然パッチクランプ記録が可能な細胞は得られておらず、今後処理条件についてさらなる検討を加えていく。 計画2、上記温度感受性細胞に発現する温度受容体のsingle cell RT-PCRによる解析 1の計画において、単一細胞からの記録にいたっていないため本解析は行っていない。次年度の研究課題として引き続き実施する。
|