研究概要 |
本年度の研究計画では,1実験環境の整備,2-(1)糖代謝や脂質代謝制御因子の遺伝子発現,2-(2)それらの蛋白質レベルでの検討であった。 1実験環境の整備 これまでは北海道大学 大学院医学研究科 病態医科学分野にて実験・研究を進めてきたが,本補助金にて所属大学にもImmunoblottingシステム,PCR用サーマルサイクラーが購入でき,所属大学においても限られた内容ではあるものの生化学的・分子生物学的実験が可能となった。 2-(1)糖質代謝・脂質代謝関連因子のmRNA発現 まず糖代謝・脂質代謝制御のどちらにも関連するPGC-1αに対する圧力刺激の作用の有無についてラット培養骨格筋細胞のL6細胞を用いRT-PCR法にて検討した。その結果,PGC-1α mRNAは圧力刺激によって増加するという知見を得た。 また,脂質代謝への作用を検討するために脂肪酸輸送蛋白質であるCPT-1およびCD36に対する圧力刺激の作用を検討したところ,それらのmRNA量は,圧力刺激によって増加する傾向があり,今後実験を重ね結果としてまとめる予定である。 2-(2)糖質代謝・脂質代謝関連因子の蛋白質レベルでの検討 糖質および脂質代謝制御の最重要因子であるAMPK活性への圧力刺激の影響を,Immunoblotting法によるリン酸化AMPKα蛋白質と,AMPKαのリン酸化体・非リン酸化体(総AMPKα蛋白質)の比(リン酸化AMPKα/総AMPKα)によって検討した。その結果,圧力刺激を負荷した細胞ではリン酸化AMPKαの増加が認められた。 また,圧力刺激がPGC-1α mRNA発現を亢進したため,PGC-1αの蛋白質発現に対する影響を検討した。L6細胞に対し3日間連続で3時間の圧力を負荷したところ,無処理では3日後でもPGC-1α蛋白質の発現が検出できなかったが,圧力負荷細胞ではPGC-1α蛋白質の発現亢進が認められた。
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