研究概要 |
神経発生過程において、神経回路網形成のためには、神経細胞は、軸索の伸展、崩壊を繰り返してその標的細胞とのシナプスを形成することが知られている。この軸索ガイダンスにおけるシグナル伝達機構に関する分子の一つとして、CRAMが同定された(J.Biol.Chem.2000)。さらにCRAMに結合するチロシンキナーゼとしてFes/Fpsを同定し(EMBO J.2002,J.Biol.Chem.2003)、これらの分子は微小管の安定性に深くかかわることが確認された。微小管は軸索の伸展のみならず、細胞骨格として、細胞の分裂、接着、遊走などにおいても重要な役割を担う。しかし、チロシンキナーゼと微小管の安定性については、神経細胞だけでなく、血液免疫系細胞においても未知な部分が多い。われわれは、チロシンキナーゼと微小管の安定性の関係に注目し、神経細胞のみでなく、マクロファージや好中球を用いて解析を行った。マクロファージや好中球は初期感染時の免疫に重要な役割を果たし、細胞遊走や貪食などダイナミックな形態変化を伴って機能を果たす。そこで細胞遊走や貪食時における微小管の変化を解析した。蛍光免疫染色を行ったところ、細胞遊走や貪食の前後で微小管の配向がダイナミックに変化すること、その際同時にチロシンリン酸化の亢進が認められる事が明らかになった。
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