研究概要 |
1)lung epithelial cellの初代培養細胞の分化過程におけるDuoxの発現と細胞内局在変化の解明 lung epithelial cellの初代培養(細胞の下面は培地に浸し上面は空気に晒して、気道腔を模倣し上皮細胞を極性を持った状況で4週間培養し分化させる)を用い、腺毛細胞が培養19日以降に出現してくるのと同期して腺毛細胞のapical surfaceのみにDuox1が発現し、活性酸素の産生が、この19日以降から急激に増加してくることをつきとめた。 2)Duoxのperoxidase homology domain (PHD)の機能解析 Duoxのperoxidase homology domain(PHD)は、その一次構造からperoxidase機能を持つことが推測されている。しかし、DuoxのPHDはヘム蛋白としてperoxidase活性を保持するために必須である2つのHisと2つのAsn残基が欠損している。報告者は、大腸菌からの精製蛋白を用いた機能解析で、PHDにはperoxidase活性はなく、Duox蛋白の特徴(oxidaseとperoxidase活性の両方を持つdual oxidase)に疑問を投げかけた。さらに、PHD constructを用いた細胞レベルでのアッセイにおいても、peroxidase活性は見出せなかった。これらの結果よりDuoxのPHDは、他のperoxidase(MPO,LPO)とは異なった様式により機能しているという仮説をたて、現在解明中である。 3)Duoxのgp91^<phox> homology domain (GHD)の機能解析 現在まで、Duoxによる活性酸素産生能をcell-free systemでも細胞レベルでも再構築した報告はない。そこで、Duoxのgp91^<phox> homology domain(GHD)に注目した。DuoxのGHDは、EF hand motifを持ち、カルシウムにより活性化されることが報告されている。報告者は、EF handを保持したものと保持しないGHD constructを作成し、活性酸素測定を細胞レベルで行い、Duoxの活性化には細胞の特殊な分化とカルシウムが必須であることをつきとめた。現在、カルシウム以外のDuox活性化因子(細胞質因子:cofactor)の検索を行っている。
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