Ror2とFilamin A (FLNa)の結合領域を決定するためのFLNaの様々な領域を含むGST融合タンパク質を作製しin vitro結合解析を行った。その結果、Ror2とFLNaの結合にはFLNaの20番目の繰り返し構造が必要であることが明らかになった。さらに、Ror2の様々な変異体を用いた解析からRor2のC末端領域がFLNaとの結合に必要であることが明らかになった。さらに、ヒト培養細胞において内在性Ror2と内在性FLNaが複合体を形成することが確認された。 Ror2の細胞形態に与える影響を調べるため、Ror2を蛍光タンパク質GFPとの融合タンパク質として培養細胞に強制発現させ、アクチン線維を蛍光標識したphalloidinで染色したのち、共焦点レーザー走査型顕微鏡によって観察した。その結果、Ror2-GFPを発現させた細胞には細胞表面に多くの糸状突起が形成され、糸状突起においてRor2とアクチンが共局在していることが観察された。さらに、抗FLNa抗体を用いた免疫蛍光染色により、内在性FLNaがRor2によって形成されたfilopodiaの基部に集積し、Ror2-GFPと共局在することが観察された。 FLNaがRor2によるfilopodia形成に関与しているかを検討するため、FLNaを発現していないヒトメラノーマM2細胞とM2細胞にFLNa cDNAを導入し発現させたA7細胞を用いて、Ror2の細胞形態に与える影響を解析した。その結果、A7細胞ではRor2の強制発現により糸状突起が形成されたが、M2細胞では糸状突起形成などの顕著な形態変化は観られなかった。したがって、FLNaはRor2によるfilopodia形成に関与していることが明らかになった。
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