研究概要 |
初年度に当たる本年度は検体の準備、整理が主たる内容となった。胃癌手術検体の収集および、胃癌tissue arrayの構築を進めている。手術検体106例、20検体が載ったtissue array8個(160検体分)を利用できる状態となった。また、これらの臨床・病理学的情報の収集と整理を行った。 プロファイリングの一つとして、ケラチン(cytokeratin7,8,18,19,20)の発現を免疫組織化学的に検索、Epsitein-Barr virus(EBV)関連胃癌でケラチンの発現が少ないことを示した。培養細胞へのEBV感染によっても、一部の細胞株(MKN7)でケラチンの発現低下がみられ、EBV感染とケラチン発現の低下の関連が示唆された。また、粘液形質(MUC2,5AC,6),CD10の免疫組織化学的検索で胃型と腸型に分類したところ、EBV関連胃癌では胃型あるいはNULL型(発現なし)が多く、EBV関連胃癌では腸上皮化生を介さない発癌の可能性が考えられ、投稿中である。EBV関連胃癌の殆どはDNA高メチル化群に属するため、これらのEBV関連胃癌の特徴が高メチル化群(CIMP)にも該当するかどうか検索を進めている。 収集検体の中から手術検体22例についてAffymetrix社のgenechipによる解析を始めた。 CIMP胃癌抽出のため、15個の遺伝子プロモータ域を選び、培養細胞、パラフィン包埋手術検体で解析を始めた。Kanedaらが抽出した5つの遺伝子(LOX, HRASLS, FLNc, HAND1, thrombomodulin)のほか癌関連遺伝子としてp14,p15,p16,p73,TIMP-3,E-cadherin,DAP kinase,GSTP1,hMLH1,MGMTを解析することにした。パラフィン材料では手技が安定しなかったため、凍結検体での解析も始めた。
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