研究課題
RT-PCR法にてRET/PTC1陽性を示した甲状腺乳頭癌のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片上において、FISH(fluorescence in situ hybridization)法をおこなった。FISH法に用いたDNA bacterial artificial chromosome cloneは、RET遺伝子の全体を認識するもの(RP11-351D16)とH4遺伝子の一部とそのテロメア側を認識するもの(RP11-369L1)を用い、2重染色をおこなった。その結果、RT-PCRでRET/PTC1陽性の腫瘍細胞の核において、明らかにRETのシグナルとH4のシグナルが接している細胞が認められ、RET/PTC1の遺伝子再構成を構成しているRET遺伝子とH4遺伝子との間の転位(inversion)が組織切片上で証明された。RT-PCRで陽性を示した甲状腺乳頭癌細胞でも全部の細胞にFISH法にてRET/PTC1遺伝子再構成が検出されるわけではなく、検出される細胞と検出されない細胞が同一の腫瘍内に混在していた。また、ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックから、RT-PCR法でRET/PTC1陽性の甲状腺乳頭癌の腫瘍部分のみを実体顕微鏡下で取り出し、腫瘍細胞のみを単離して、同様のFISHの2重染色をおこなったところ、RET/PTC1の遺伝子再構成が確認された。RT-PCR法により、H4 mRNAの発現を欠く乳頭癌組織を数例検出したので、同様にホルマリン固定パラフィン包埋組織切片および単離細胞において、H4遺伝子の局在と分布をRET遺伝子とあわせてFISH法にて観察し、その意義を検討する予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Cancer Sep(1);104(5)
ページ: 943-951