研究概要 |
1)正常肺組織における部位別mRNA発現パターンの解析: 肺癌手術時に得られる周囲の正常肺組織ういて,肺尖部と肺底部におけるmRNAによる遺伝子発現パターンの差を、DNA arrayを用いて解析した。結果、肺尖部ではSERPIN2の発現が上昇していた。この遺伝子は、つい最近肺気腫患者のlikage analysisから肺気腫に関わる遺伝子として報告された。機能としては蛋白分解酵素の阻害に働いており、肺のremodeling時に関わっている可能性がある。このような遺伝子が肺の部位により発現が異なっていることは、様々な肺疾患における部位特異性に関与している可能性がある。こめ遺伝子の他にWNT signalに関わる遺伝子群が、部位特異的遺伝子の候補として明らかになった。 2)組織反応決定因子トランスジェニックマウスの作製: 上記のWNT関連遺伝子の中から、一これまで種々の肺気腫モデルマウスおよびヒト肺気腫患者で発現が冗進しているsFRP-1(WNT阻害因子)について、トランスジェニックマウスを共同研究で開発した。このマウスは、肺発生時に一過性に形態学的な異常を生じる。出生後はwild typeに近い形態を示すが、肺への種々の侵襲に対して正常と異なる組織学的反応を示す。免疫染色による解析では、平滑筋へ分化とelastinの沈着に異常が生じていた。 3)疾患特異的遺伝子群の解析とMMPの相互作用 ヒト特発性間質性肺炎で特的に発現と活性化が促進しているMMP-7と相互作用する遺伝子について解析を行った。MMP-7活性化促進因子として報告してきたCD151が、遺伝子レベルおよび蛋白レベルで発現が亢進していた。また、それと同時にCD151と結合するインテグリンの発現が減弱する蛍光を認めた。
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