研究課題
遺伝子の酸化的損傷修復に関わる塩基除去遺伝子の一つMutYHの変異の、日本人消化管癌特に大腸癌リスクとの関係を調べるために、九州の症例対照DNAを用いて四つの変異をターゲットとしてgenotypingを行った。その結果、IVS1+11C>Tの変異において有意な差が見られた。この変異のMutYHのメッセンジャーRNAレベルでの影響を見るために、pathology archivesからゲノムDNAを抽出し、スクリーニングし、250あまりの症例から一つのホモ変異体を見つけ、さらに、該当sampleからRNAを抽出し、cDNAを作った。IVS1+11C>Tの前後のエクソンにおいてプライマーセットを設計し、RT-PCRを行ったが、変異型特異的バンドを見られなかった。次に、このSNPがMutYHのbeta-typeの転写開始点の上流に位置するので、その転写に影響があるかどうかを調べるために、転写開始点上流700bp範囲の配列をreporter vectorに入れた。その配列を確認するときに、その領域にもうひとつのSNPが見いだした。そのSNPはさらに上流に位置し、興味深いことに、この二つのSNPはリンクしていることがnested allele-specific PCRで確認できた。転写因子結合領域を調べた結果、新たに見つけたSNPの変異型配列では核内受容体であるPXR/RXRと結合し転写を促進することが予想された。Reporter assayでの確認をしているところである。これからもこの二つのSNPのMutYHに対する機能影響の解析をする方針である。今回の結果も、MutYHの変異での人種差があることを示している、このSNPの最初の報告は日本人によってなされている、また、30数個のcell lineで調べた結果でも、唯一ヘテロ接合体を示したcell lineは日本人由来であった。以上のデーターから、この二つのSNPはMutYHの転写に影響を与え、日本人において大腸癌と関連することを示唆するもので、さらなる機能解析が必要であると考えられた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Oncogene Volume 24 Number 36
ページ: 5637-5647
Clinical Genetics Volume 67 Issue 1
ページ: 81-86