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2006 年度 実績報告書

炎症反応に起因した胃粘膜上皮細胞の腫瘍性増殖機序の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17790264
研究機関金沢大学

研究代表者

大島 浩子  金沢大学, がん研究所, 助手 (80362515)

キーワード胃癌 / 炎症 / COX-2 / TNF-α / IL-1β
研究概要

胃癌や大腸癌の発生には炎症反応が重要な役割を果たしていると考えられている。我々が作製した胃癌発生マウス(K19-C2mEマウス)や大腸腫瘍発生マウス(Apc^<Δ716>マウス)の腫瘍組織では、マクロファージ浸潤とその活性化によるTNF-αやIL-1βの産生誘導を伴っている。これらの炎症反応が腫瘍発生に及ぼす影響を明らかにするために、以下の交配実験を行なった。
(1)TNF-α遺伝子およびIL-1β受容体遺伝子ノックアウトマウスとK19-C2mEマウスの交配実験を行なった結果、TNF-α欠損により腫瘍発生が顕著に抑制された。BrdU標識実験により、TNF-α刺激が胃粘膜上皮細胞の分化を抑制し、未分化細胞数の増加による腫瘍性病変が形成されている事が明らかとなった。一方、IL-1β遮断による腫瘍抑制効果は認められなかった。
(2)さらに、腫瘍発生におけるマクロファージの役割を解析するために、マクロファージ欠損マウス系統であるop/opとApc^<Δ716>マウスとの交配実験を実施した。op/opはCSF-1遺伝子変異のために組織マクロファージ数が著しく減少している。Apc^<Δ716>:op/op複合変異マウスでは、腸管全域に発生する腫瘍数の減少が認められた。さらに、発生した腫瘍の大きさも有意に減少した。マクロファージが欠損しても腫瘍組織中でのCOX-2発現誘導は認められたため、COX-2活性阻害とは異なる機序により腫瘍発生が抑制された可能性が考えられた。
以上の結果により、消化管腫瘍発生過程では組織へのマクロファージ浸潤と、その活性化によるTNF-α産生誘導が腫瘍細胞の未分化性維持に重要である事が明らかとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Destruction of pancreatic β-cells by transgenic induction of prostaglandin E_2 in the islets.2006

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Oshima
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 281・39

      ページ: 29330-29336

  • [雑誌論文] Carcinogenesis in mouse stomach by simultaneous activation of the Wnt signaling and prostaglandin E_2 pathway.2006

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Oshima
    • 雑誌名

      Gastroenterology 131・4

      ページ: 1086-1095

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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