研究概要 |
破骨細胞の分化には、正に制御するRANKLと負に制御する破骨細胞抑制因子オステオプロテゲリンOsteoprotegerin(OPG)の二つの因子が重要であり、この二つの因子のreciprocalな調節が重要と考えられる。 種々のステロイドホルモンはRANKLを正にOPGを負に制御することが知られている。今年度はデキサメサゾン(Dex)がOPG転写調節に及ぼす影響を主に検討した。マウスOPG遺伝子プロモータにはAP-1配列(-293/-287,TGACTGA)が存在し、ST2細胞では主としてc-Jun homodimerが結合し定常状態での転写活性維持に重要であることを報告してきたが、プロモータ内のAP-1に変異を導入すると定常状態での転写活性の低下と共にDexによる抑制効果も消失することから、DexによるOPGの転写抑制は主としてAP-1を介する間接的抑制作用(transrepression)であることが推定された。Dex処理後のST2細胞におけるMAPキナーゼ系のリン酸化カスケードの解析によりリン酸化c-Jun蛋白量の減少がこのtransrepressionに関与しているという結果を得た。一方、活性型ビタミンD_3のAP-1に対するtransrepressionはJun-N terminal kinase(JNK)非依存性であることが判明した。 なお、本研究成果の一端を内外の学会において発表した(第94回日本病理学会,第23回骨代謝学会、第27回米国骨代謝学会議)。
|