研究課題
細胞融合は骨、筋肉、胎盤の発生過程において重要な役割を果たすだけでなくウイルス感染や癌化メカニズム、組織の再生などにも関与することが知られている。しかしながらそのメカニズムに関しては不明瞭な部分が多い。本研究は絨毛癌由来のBeWo細胞を利用して細胞融合メカニズムに関与する分子をプロテオーム解析によって同定、その機能解析を行うことを目的とする。BeWo細胞をフォルスコリン存在下で48時間培養し細胞融合を誘導する。誘導条件、融合細胞の判定は一方の細胞集団で細胞質にDsRedを発現させ、他方には核内にCFPを発現させた異なる細胞間で混合・培養し、蛍光顕微鏡下でDsRed陽性かつCFP陽性細胞を融合細胞とし、誘導効率が最適となる条件を検討した。その後非誘導細胞と誘導細胞からcationic colloidal sillicaを用いてapical側の細胞膜を回収しapical plasma membrane画分とCytoplasmically attached peripheral membrane protein画分に分離、それぞれ二次元電気泳動を行い、二次元電気泳動後リン酸化タンパク特異的なProQ-diamond染色と総タンパク染色のSypro Ruby染色を行い発現レベルやリン酸化レベル、翻訳後修飾に変化が見られたスポットに対してpeptide mass fingerprint法によってタンパク同定を行い候補分子群とした。次に候補遺伝子に対してsiRNAを作成しレンチウイルスベクターを利用して細胞内にショートヘアピン型のshRNAを発現させ目的遺伝子のノックダウンを行い細胞融合に対して影響のある遺伝子を更に絞り込んだ。現在細胞融合を抑制する分子を二つ同定しており、融合誘導特異的な翻訳後修飾の正体の解明とその機能解析を進めている。
すべて 2006
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Glycobiology 10
ページ: 10