研究課題
平成17年において、合計50個の遺伝子欠損マラリア原虫を作製・その表現型を解析した。その中には生殖母体分化に関わる因子は同定されていないものの、蚊の中でのマラリア原虫の受精・分化・増殖に関わる遺伝子が合計13個も見つかった。これらの分子を欠損したマラリア原虫は、蚊の中で成育することができない、または生育できても次の脊椎動物への感染性を失ってしまっている。次に述べる意味において、これらの分子をリード分子として今後さらに性状を調べる意義が大きい;(1)蚊の中でマラリア原虫の増殖を阻害するための"伝播阻止ワクチン候補"としての可能性を調査する(2)蚊から次の脊椎動物への感染性を失ってしまった遺伝子欠損マラリア原虫を"生ワクチン"として利用可能かどうか、その可能性を探る。本研究課題担当者は、わずか1年でマラリア原虫生物学の理解という意味において、さらには生物学の理解に基づくマラリア撲滅のリード分子同定という意味においても、大きな成果を上げている。上記の成果を一流国際雑誌に投稿する準備を進めると同時に、本研究課題である"性分化分子機構の解明"に向けて、さらに標的遺伝子をゲノムデータベースから探索している。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Dev Comp Immunol. 29・10
ページ: 853-864
J Hum Genet. 50・9
ページ: 468-472