小形条虫(H.nana)感染時の腸管における防御発現を小腸組織から明らかにした。 1.虫体の動態と宿主の応答の評価 初感染後と再感染後とに経時的(4〜72時間後)にマウスから腸管を採取し、組織標本を作製した。 それらの標本にH-E染色を行い、虫体の形態変化や絨毛内に侵入した虫体数を評価した。再感染数時間後での組織標本では再感染虫体は全く検出されなかった。このことより、再感染時の腸管における防御が小腸粘膜面での虫体侵入阻止によるという結果を得た。 次に、虫体周囲の浸潤細胞の同定を行った。初感染24時間後では好中球を初めとした自然免疫担当細胞が虫体周囲に認められた。それ以降でも虫体周囲の細胞はほぼ同様であった。一方で、各種免疫染色なども行い、マウス腸管組織および細胞の変化なども評価中である。 2.感染成立の定量化 虫体をより敏感に検出するために、初感染後と再感染後とに経時的(15分〜4時間後)にマウスから腸管を採取し、10%中性緩衝ホルマリン液で固定し、パラフィンで包埋し、組織切片標本を作製し、免疫組織染色を行った。一次抗体にはラット抗H.nana虫卵抗体を用いた。発色基質にはDABを用いた。 それらの標本で、感染が成立した虫体数を算定し、再感染時の六鉤幼虫の動態を検討した。再感染後の組織標本では再感染虫体は全く検出されなかった。このことより、再感染時の腸管における防御が小腸粘膜面での虫体侵入阻止によるという結果を得た。
|