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2005 年度 実績報告書

奇生性原虫赤痢アメーバにおけるコレステロールホメオスタシスに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17790282
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

中野 由美子 (斉藤 由美子)  国立感染症研究所, 寄生動物部, 主任研究官 (30321764)

キーワードRab / small GTPase / メンブレントラフィック / エンドソーム / コレステロール / filipin
研究概要

赤痢アメーバにおいて生育に必須なコレステロールの取込みに関与する小胞輸送経路を明らかにするために、まず、エンドソームに局在するRab GTPaseがゲノムに幾つ存在するかを検索した。その結果、赤痢アメーバゲノムデータベースにはRab遺伝子だと考えられるsmall GTPaseが91種存在し、その数は多細胞生物のヒト(60種)やシロイヌナズナ(57種)の1.5倍に相当するものであった。そのうち、初期エンドソームに局在すると予想されるRab5は1種、後期エンドソーム/リソソーム系に存在すると予想されるRab7のアイソタイプが9種(Rab7A-Rab7I)、リサイクリングエンドソームに局在すると予想されるRab11のアイソタイプが4種(Rab11A-Rab11D)存在した。定量PCR法によって実験室株HM1:IMSS cl6での発現を検討したところ、いずれのRabも発現が確認された。よって、赤痢アメーバは他種生物に比べ、エンドソーム系の輸送経路が複雑化していると考えられた。中でも哺乳類細胞ではRab11は、リサイクリングエンドソームでコレステロールの細胞外への排出に関与すること報告されている。そこで、赤痢アメーバのRab11アイソタイプがリサイクリングエンドソームに局在するかどうかを検討した。まず、C末にHAタグを付加したRab11アイソタイプを赤痢アメーバ内で大量発現する形質転換株を作製し、その細胞ライセートを用いて細胞分画を行った。これまでの解析で、赤痢アメーバのRab7AならびにRab5はp13ならびにp100画分に回収されることが分かっている。一方で、Rab11A,11B,11Cのアイソタイプは何れもp13の重い膜画分に回収され、Rab7AならびにRab5とは異なる局在を示した。抗HAを用いた間接蛍光抗体染色では、細胞内に多数散在する凝集した膜状に観察された。リソソームマーカーのLysoTracker Red,あるいはFITC-デキストランを60分パルスしたエンドソームとは共局在しなかった。しかしながらFITC-デキストランをさらに60分チェイスすると、一部分のエンドソームとRab11ポジティブな膜との部分的な共局在が観察され、Rab11ポジティブな膜とリサイクリングエンドソームとのkiss-and-run融合が観察されていると推測した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Differences in phagosome acidification and degradation between attenuated and virulent strains of Entamoeba histolytica.2006

    • 著者名/発表者名
      Mitra, B.N., Kobayashi, S., Saito-Nakano, Y., Nozaki, T.
    • 雑誌名

      Exp.Parasitol. (印刷中)

  • [雑誌論文] Differences in morphology of phagosomes and kinetics of acidification and degradation in phagosomes between the pathogenic Entamoeba histolytica and the non-pathogenic Entamoeba dispar.2005

    • 著者名/発表者名
      Mitra BN, Yasuda T, Kobayashi S, Saito-Nakano Y, Nozaki T.
    • 雑誌名

      Cell Motil.Cytoskelton 62

      ページ: 84-99

  • [雑誌論文] The diversity of Rab GTPases in Entamoeba histolytica.2005

    • 著者名/発表者名
      Saito-Nakano Y, Loftus BJ, Hall N, Nozaki T.
    • 雑誌名

      Exp.Parasitol. 110

      ページ: 244-252

  • [雑誌論文] A retromerlike complex is a novel Rab7 effector that is involved in the transport of the virulence factor cysteine protease in the enteric protozoan parasite Entamoeba histolytica.2005

    • 著者名/発表者名
      Nakada-Tsukui K, Saito-Nakano Y, Ali V, Nozaki T.
    • 雑誌名

      Mol.Biol.Cell. 16

      ページ: 5294-5303

  • [図書] 細胞工学連載「分子寄生虫学入門」2006

    • 著者名/発表者名
      野崎智義, 中野由美子
    • 出版者
      秀潤社(印刷中)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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