本研究の目的は細胞内情報伝達におけるToll-like receptor4(TLR4)下流のMyD88を介する経路、介さない経路それぞれの活性化とTLR4の二量体形成との相関性について検討を行い、二つの経路における活性化機構を明らかにしていくことである。TLR4を細胞に過剰発現させるとリガンド非依存的に二量体を形成してしまうため、TLR4の二量体形成に関する研究を行うのは非常に困難である。そのため本研究ではインテグリンα5もしくはインテグリンβ1の細胞外ドメインにTLR4細胞内ドメインを結合させたキメラタンパクを細胞に発現させ実験を行う。インテグリンα5の細胞外ドメインとインテグリンβ1の細胞外ドメインを細胞に発現させると結合し二量体を形成するが、インテグリンα5、インテグリンβ1それぞれ単独では二量体を形成できない。これを利用することによりTLR4細胞内ドメインの二量体形成をコントロールすることができる。平成17年度はこれらインテグリン細胞外ドメインとTLR4細胞内ドメインとのキメラタンパクのDNAコンストラクトの作成および平成18年度で使用するMyD88、TRAM、TRIFのcDNAのクローニング、またNF-κBおよびIRF-3依存性のレポータープラスミドの作成を行った。平成18年度はこれらを利用してTLR4の二量体形成とMyD88を介する経路、介さない経路それぞれの活性化との関係を明らかにしていく。
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