イムノPCRの要である抗体のリポーターDNA(rDNA)標識は、ビオチン化抗体とビオチン化rDNAとをアビジンを介して結合させる方法が一般的である。しかし、この方法では反応工数と時間を要し、また洗浄回数が多いために形成された免疫複合体を乖離させる可能性もある。これらの欠点を解消するため、抗体にrDNAを直接標識する検討を行った。rDNAは合成ssDNAとし、さらに合成コストを考慮して120塩基長以内とした。rDNAの配列はpUC19をベースに一部改変を加えた。rDNA標識抗体の調製は抗マウスIgGウサギF(ab')2断片を2MEAで還元したものと5'アミノ化rDNAをマレイミド化したものとを混合し、4℃一晩反応させた。そして、rDNA標識抗体の精製はマウスIgG固相アフィニティカラムを用いて行った。抗体にrDNAが標識されていることは、SDS-PAGEを行ってEtBr染色、CBB染色により確認した。 イムノPCRに要する時間を短縮する他の方法として、PCRの条件の最適化がある。イムノPCR専用に開発されたモジュールは底がフラットであるため、熱の伝導性が一般のPCRチューブに比べて劣り、増幅効率を損なうと推察される。そこで、複数腫のPCR用マイクロプレートをELISAに適用した場合とPCRに適用した場合とにより検討した。その結果、一種がELISAでは標準的に使用されているプレートと同等の検出感度であって、同一プログラムのPCRでイムノPCR専用のモジュールに比べて100倍検出感度が優れていた。
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