Phospholipase D(PLD)は細胞内に存在する脂質を修飾する酵素で、PLD1とPLD2の二つのアイソホームが発現している。PLDはホスファチジルコリンを加水分解してホスファチジン酸とコリンを産生することは良く知られている。そしてTLR4のリガンドのLipopolysaccharide(LPS)刺激により、PLDが活性化して細胞内のホスファチジン酸量が増加することが報告されている。またPLDはARFやRho family分子などの細胞骨格や細胞内輸送に関わる分子と結合し活性化して、細胞輸送などを調節していることが最近明らかとなりつつある。我々はこのPLDがTLR4とどのように関わって機能しているのかに興味を持ち、まずはPLDのインヒビターである1-Butanolを用いてLPS刺激時における細胞の反応を解析した。すると1-Butanol処理により細胞の反応性が著しく減少した。実際TLR4と直接結合しているのかどうかを、HEK293細胞にFlagないしはGFPタグを付けたTLR4とHAタグを付けたPLD1ないしはPLD2を発現させると、TLR4とPLD2の結合が確認された。この結合はTLR4特異的ではなくTLR2とも結合することが明らかとなった。しかし、TLR9とPLD2は結合しなかった。もう一つのPLD1はTLR2そしてTLR4のどちらとも結合していなかった。ただ今、レトロウイルスベクターを用いてPLDをノックダウンする計画が進行中であり、RAWや骨髄由来のDC細胞のPLDをノックダウンする予定である。RAW細胞においてはいくつかノックダウンできた細胞が得られたので、それらを解析していくつもりである。
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