研究課題
自然免疫系は二本鎖RNAなどウイルス特異的分子パターンを認識し、I型インターフェロン(IFN)や、炎症性サイトカインを産生し感染防御を行っている。感染初期の二本鎖RNA(dsRNA)認識に、Toll-like receptor 3(TLR3)、一本鎖RNA、DNAの認識にTLR7,TLR9がそれぞれ重要な役割を果たしている。しかしながら、TLRは膜タンパクであり、細胞質内でのウイルス複製過程で産生されるdsRNAの認識を行うことは出来ず、細胞質内の受容体の存在が予測されていた。2004年、藤田らにより細胞質内ヘリカーゼ分子RIG-IがdsRNAの認識、I型IFN反応に関わることが示唆されたがその生体内における役割は明らかとなっていなかった。そこで、我々はRIG-I欠損マウスを作製しその役割を、TLRを欠損するマウスと比較することにより解析した。RIG-I欠損マウスは大部分が胎生13.5日頃、肝細胞の変性により死亡した。マウス線維芽細胞を用いた解析の結果、RIG-IがいくつかのRNAウイルス感染に対するIFN-b, IFN誘導遺伝子群の発現に必須であることが明らかとなった。これに対し、TLRは重要な役割を果たしていなかった。更に、シグナル伝達機構を解析するとRIG-IはNew Castle Disease Virus(NDV)感染に対する転写因子IRF-3やNF-kBの活性化に必須であった。我々は更に免疫担当細胞である樹状細胞(DC)を用いて解析を行った。Conventional DCのNDV感染においては線維芽細胞と同じくRIG-I依存性にI型IFN産生が認められた。これに対し、plasmacytoid DCはRIG-I非依存性にIFNを産生し、その産生はTLRに依存的であった。したがって、ウイルス感染に対し、細胞特異的なメカニズムによりIFN産生が制御されていることが明らかとなった。また、RIG-Iシグナルに関わる分子としてIPS-1を同定した。
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