本研究では、免疫システムを用いたIgE抑制のメカニズムを解明することを目的に、特に免疫制御細胞であるVα14NKT細胞の機能の機能調節に焦点をあてた。 現在までに、経皮的な抗原感作によるIgE産生モデルマウスの作成とBCGワクチン投与によるIgEの抑制を確認している。この抑制はVα14NKT細胞欠損マウスを用いた実験結果から、BCG投与によるIgE産生の抑制にはVα14NKT細胞に依存していることが判明した。さらに、IgEの抑制因子はVα14NKT細胞が産生するIL-21であることを見いだし、Vα14NKT細胞の産生するIL-21が直接B細胞に作用してIgEを抑制することも確認した。 さらに、Vα14NKT細胞がIL-21を産生するには、樹状細胞がToll-loke受容体を介してBCGを認識し、IL-12p70を産生することが必要であることを、IRAK-4欠損マウスやMyd88欠損マウスで明らかにした。 一方、IL-21のIgE産生の抑制には現在までに2通りの経路があることを実験的に確かめている。一つはIgEへのクラススイッチの抑制である。もう一つはIgEを産生するB細胞の細胞死を誘導することである。IgG産生B細胞と比較すると、IL-21に対するアポトーシスに対する感受性が高いことが明らかになった。 現在はVα14NKT細胞が産生する、未だ詳細には明らかになっていないIL-21によるIgE産生細胞の細胞死のメカニズムの解析を分子レベルで行っている。
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