研究概要 |
申請書にて提出した研究計画に沿い,我々は,Carma1を欠損したヒトT細胞リンプォーマ株Jurkatと親株Jurkat間で,抗体によるT細胞抗原レセプター(TCR)のcrosslink刺激,およびPMA/イオノフォア刺激後にリピッドラフトにリクルートされる分子群の違いをラフト画分のproteomics解析によって比較することを試みた。しかし,我々の実施している系では,carma1によりラフトリクルートメントが制御されていると報告されている代表的分子であるBc110,MALT1,IKKα/β/γを検出することすら難しく,いくつかの改善を試みたものの,短期的な検討の結論としてProteomicsをbaseとした系は実質的に我々の目的とする新規分子のスクリーニング系として難しいと判断された。そこで,我々はこれに代わるスクリーニング系として酵母two-hybrid systemを用いることにした。この試みにおいて,我々は機能的に良く判っていないCarma1のPDZ, SH3, Guk domainをbaitとしたスクリーニングを行った。なお,このスクリーニングの一過程は,(株)日立製作所ライフサイエンス推進事業部バイオテクノロジーセンターに依頼することにより行った。その結果,我々はGukドメインと相互作用する候補蛋白Xを一つ同定した。今後はこの蛋白XとCarma1との相互作用の特異性,結合様式,機能的な関連などを明らかにし,さらに,研究計画にあるように遺伝子改変マウスの作製などに取り組み,Carma1の生理的機能の解析を推進する予定である。
|