入院の包括払い制度(DPC)の導入により、放射線撮影部門でもさらなる効率的な運用が求められる中、フィルムレス化による使用フィルム材料のみならず、フィルム保管に関わる人員削減などの付随効果もみられ、一定の経済効果が確認された. 一方、当院の放射線撮影部門はフィルムレス・PACS化の進展により情報ネットワークでは一元的となったものの、建物配置上は数カ所に分断されており、診療放射線技師、事務職員、ならびに受診患者においても効率の良くない点が露見した.撮影が集中した、あるいは手数のかかる撮影を行っている撮影部門への技師のフレキシブルな配置、またそれを可能とする撮影部門間の近接配置、造影剤等使用検査における「検査依頼伝票」の使用による業務の煩雑さ、造影剤検査時の紙カルテによる臨床所見の意思による確認など、複合的な要素が絡み合い、単一要素による効果は大きく望めないことが判明した. 建物配置上の問題は本研究の対象とはならないが、技師のフレキシブルな配置、もしくは撮影検査を担当する機器および技師へのフレキシブルな振り分けについては、情報システムが関与し解決する一助になろうことが示唆された. 「検査依頼伝票」のペーパレス化については、医療安全上の問題およびインフォームド・コンセントの問題が密に絡み合っており、臨床現場としては現状では前向きな協力が得られにくいことが判明した一方で、そうした問題が情報システムで解消できるならば一気にペーパレス化を進展できるともいえ、今後の課題が明確になった.
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