(背景と目的)平成16年度からの新臨床研修制度導入の背景として、社会からの医療現場に対する、医療者の資質向上や、安全で安心な医療に対するニーズの高まりがある。しかしながら医療者の資質の評価については、明確な評価法はなく、特に情意領域の評価は困難とされている。そこで、メディカルプロフェッショナリズムに関する意識の変化について検討すると同時に、スタンフォード大学病院での事例を参考にして、よりよい評価法について検討した。 (実績1)三重大学病院卒後研修部とMMC卒後臨床研修センターで制作してきた、地元FM放送番組「ドックMMC-50cmの信頼-」中で出演研修医による「ドックMMC宣言」101回分の内容を情意領域の評価法として検討した。「ドックMMC宣言」の内容は、「情意」に関するものは、「良い医者」「信頼される医者」「患者医師関係」「医師としての人間性」「笑顔、雰囲気」「チーム医療」に分類された。自らの思いの言語化、コミットメントによる情意領域の顕在化が、評価の有効な手段になりうる可能性が示唆された。(「医学教育」誌投稿中) (実績2)スタンフォード大学訪問とレジデンシープログラム見学、特に研修医の評価方法についてのインタビューを行った。基本的臨床能力としての情意領域の重要性は、プロフェッショナリズムの主要部分として北米でも注目されており同病院でも重視している。しかし同大では、レジデンシープログラム採用時での評価を重視しており、今後臨床能力評価としての情意評価と同時に、研修医選抜時の評価法の確立が重要と思われた。 (実績3)スタンフォード大シニアレジデントDr. Ko Yamadaを招聘し、セミナー"Education and Residency Program in Stanford."を開催した。スタンフォード大における研修評価法、日本における評価法について、意見交換を行った。
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