肺腺癌培養細胞(A549)を通常条件で培養し、confluent状態でharvestした後、urea、detergent、DTT、protease inhibitor complexからなる細胞溶解液との混和とsonicationを繰り返して細胞溶解液を得た。これを用いて液相等電点電気泳動により20分画程度にfractionationを行い、これを96-wells microplateに固相化し、enzyme immunoassayあるいはfluorescent immunoassayの原理で肺癌患者血清および対照と反応させ、分画された癌細胞成分と反応した血清中IgGの量を検出したところ、患者群で有意に高値を示すいくつかの分画が見出された。一方、細胞溶解液を逆相 (reversed phase)HPLCを用いて60-70分画に分離し、これを凍結乾燥後再溶解させ以後同様にmicroplateに固相化して血清と反応させたところ、やはり患者群で有意に反応IgG量が高値を示す分画が見出された。これらそれぞれの分画には癌患者が特異的に持つ抗癌細胞自己抗体の対応抗原が含まれている可能性があるが、特にその交点は可能性が高く、2次元分画によりこのような分画を得てここに含まれる蛋白をさらに解析することで対応抗原同定につなげることが出来ることが判明した。結果については日本臨床検査医学会総会(福岡)にて発表させていただいた。次年度は2次元分画に対してSDS-PAGEを行うなどさらに3次元目の分画を行ってWesternblot等にて対応抗原解析を進めていく予定にしている。
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