我々は前年度にresistinに対するELISA法による測定法の開発に成功し、本法を用いて、マウス血清、マウス脂肪組織、ヒト血清中のresistinを測定した。マウスでは肥満モデルマウスにおいてコントロールマウス、と比較して血清中、脂肪組織中ともにresistinは低値を示したが、ヒトではBMIと血清中resistinの間に弱いながらも正の相関があることを示した。さらに今年度は2型糖尿病患者血清中resistin濃度や他のアディポサイトカイン濃度と各種臨床パラメータとの関係を検討した。その結果、2型糖尿病患者血清中のresistin濃度は検討した14項目の臨床パラメータとは相関がみられなかった。しかし、スタチン系薬剤を3T3-L1脂肪細胞およびヒト単球/マクロファージに添加すると、resistin mRNAの発現が用量依存的に減少したこと、また、スタチン系薬剤を半年間服用した2型糖尿病患者血清中resistin濃度は服用前と比較して減少傾向が見られたことから、ヒトresistinは炎症病態の惹起に関連していることが示唆された。今後さらにresistinについては、ヒトとげっ歯類における役割を検討する予定である。一方、AIF-1については、サンドイッチ型ELISA法による測定法を確立し、1型および2型糖尿病患者血清中のAIF-1濃度を測定した。現在、AIF-1の臨床的意義について検討中である。
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