研究概要 |
A/J,及びBALB/cマウスに対して,コルチゾール(CS)の3位,4位,及び21位をブリッジを介してウシ血清アルブミン(BSA)と連結させた結合体を免疫抗原として隔週で皮下投与した.5回目の免疫後に眼静脈採血を行い,血清中に含まれる抗体力価をトリチウム標識CSを用いるラジオイムノアッセイにより測定したところ,いずれの免疫原を投与したマウスにおいてもCSに対する抗体力価の上昇が認められた.これらのうち,良好な値を示した4匹を対応するBSA結合体で最終免疫して脾臓を摘出し,脾細胞を調製した.フィコールコンレイ比重液を用いて赤血球を除去してリンパ球画分を調製したのち,全RNAを抽出し,オリゴdTと逆転写酵素を反応させることによりcDNAを合成した. 様々な抗ステロイド抗体のH鎖,L鎖可変部(V_H,V_L)の相補性決定部(CDR)のアミノ酸配列を比較すると,H鎖CDR2,CDR3,L鎖CDR1,CDR3の変化がとりわけ大きいことが当研究室で確認されている.そこで一本鎖Fvフラグメント(scFv)遺伝子ライブラリーの構築に際して,これら4種のCDRをシャッフルすることとした.すなわち,各種のマウス抗体サブグループに対応可能な縮重プライマーと上記cDNAを用いてPCRを行い,各CDR遺伝子断片群を調製した.得られたCDR遺伝子断片群をフレームワーク(FR)遺伝子断片と混合してPCRを行うことにより,各2箇所のCDRがシャッフルされたV_H及びV_L遺伝子断片群を調製した.この際用いるFR遺伝子は抗11-デオキシコルチゾール抗体の配列を利用した.これは対応するscFvが安定で十分な活性を示すことが確認されているためである.その後,V_H及びV_L遺伝子群を混合してoverlap extension PCRにより連結して,scFv遺伝子ライブラリーを調製した.得られたscFv遺伝子ライブラリーをファージミドベクターへとサブクローニングした後,大腸菌XL1-Blue株へと導入し,3.1x10^7種のクローンを含む形質転換菌のライブラリーを調製した.
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